ローライフレックスは6×6判の大きなファインダーを見ながら構図を決められる二眼レフならではの撮影スタイルと、独特の描写によって現在でも多くの写真愛好家に愛用されているカメラである。
一方で、ローライフレックスやローライコードは標準状態では被写体にかなり近づいて撮影することが難しい。そこで用意されたのが、接写撮影を可能にする純正アクセサリー「ローライナー(Rolleinar)」だ。
ローライナーはカメラ本体の撮影レンズやビューレンズを交換するものではなく、それぞれのレンズ前面に装着して近距離撮影を可能にする補助レンズ。
さらに、二眼レフ特有の「撮影レンズとビューレンズの位置が異なることによる視差」を考慮した構造になっている点も大きな特徴と言える。
本記事では、ローライナーの種類や撮影距離、バヨネットタイプ、正しい取り付け方、使用時の注意点について詳しく解説する。
- ローライナーはローライ純正の接写アクセサリー
- 1~3で撮影できる距離が異なる
- 撮影用とビュー用をセットで使用する
- カメラに合ったバヨネットを選ぶ
ローライフレックス用接写レンズ|ローライナー

ここでは、ローライフレックスやローライコードで接写撮影を可能にする「ローライナー」について、その特徴から取り付け方法、使用時の注意点まで詳しく解説する。
ローライナーは標準状態では近づけない被写体を撮影するための専用アクセサリーである。花や小物などの撮影だけでなく、人物の顔など、通常の撮影より被写体に近づきたい場合にも利用できる。
ローライナーを理解するうえで重要なのが「接写用レンズ」と「視差補正」の2点である。
二眼レフでは実際に写真を撮影する下側の撮影レンズと、ファインダーで構図を見る上側のビューレンズが分かれている。
通常の撮影距離であれば、それほど大きな問題にはならない。しかし、被写体に近づくほど、撮影レンズとビューレンズの位置の違いによる視差が大きくなる。
ローライナーはこの問題にも対応できるよう、撮影用とビュー用の2つの光学部品を組み合わせて使用する構造になっている。
ローライナーとは?
ローライナーとは、ローライフレックスやローライコードで近距離撮影を行うための純正接写用アクセサリーである。
レンズ交換式ではないローライの二眼レフに装着することで、標準状態よりも大幅に近い距離へピントを合わせられるようになる。
ローライの二眼レフはモデルによって異なるものの、標準状態での最短撮影距離はおおむね90cm前後が目安となる。ローライナーを使用することで、この距離よりも被写体へ近づいて撮影できる。
ローライナーには「1」「2」「3」の3種類があり、それぞれ撮影できる距離が異なる。
| 種類 | 撮影距離 |
|---|---|
| ローライナー1 | 約100~45cm |
| ローライナー2 | 約50~31cm |
| ローライナー3 | 約32~24cm |
数字が大きくなるほど、より近距離での撮影に対応する。
ローライナー1は比較的扱いやすい近接撮影用であり、ローライナー2はさらに被写体へ近づく撮影、ローライナー3は花や小物などを大きく写すような本格的な接写に適している。
なお、これらの数値はローライナーの代表的な撮影範囲を示したものであり、使用するカメラやレンズによって条件が異なる場合がある。
撮影用レンズとビュー用レンズ
ローライナーは基本的に撮影用とビュー用の2つを1セットとして使用する。撮影用は実際にフィルムへ像を記録する下側の撮影レンズに取り付ける。
一方、ビュー用は上側のビューレンズに取り付ける。こちらには二眼レフ特有の視差を補正するための光学的な仕組みが組み込まれている。
つまり、ローライナーは単純に撮影レンズへクローズアップレンズを追加するだけのアクセサリーではない。
ローライナーの特徴
撮影用
実際の撮影を行うレンズ側に装着する。ビュー用
ファインダー側に装着し、近距離撮影時の視差を補正する。この2つを組み合わせることで、二眼レフでの接写撮影を可能にしている。
ローライナーは長期間にわたって販売されたアクセサリーであり、現在でも中古カメラ市場で比較的見つけやすいローライ製品の一つである。
ただし、中古品を購入する場合にはローライナーの番号だけでなく、カメラに適合するバヨネットタイプまで確認する必要がある。
軽量で携帯にも便利

接写用レンズと聞くと通常のレンズを追加するため、荷物が重くなるのではないかと考えるかもしれない。
しかし、ローライナーは小型で比較的軽量なアクセサリーであり、ローライフレックスと一緒に持ち歩きやすい。
専用ケースに収納できるものもあり、ケースには携帯用のストラップを取り付けられる構造が採用されている。

また、撮影用とビュー用の2つのレンズは重ねて収納できるため、持ち運ぶ際にかさばりにくい。
ローライフレックスは本体そのものに存在感があるため、アクセサリー類まで大型になると携帯性が悪くなる。その点、ローライナーは必要なときだけ取り出して装着できるため、接写撮影をしたい場合に便利なアクセサリーである。
さらに、ローライナーは近接撮影の用途が明確なので、普段は通常状態で撮影し、必要になったときだけ装着するという使い方ができる。
対応するバヨネットタイプ
ローライナーを中古で購入する際に、特に注意したいのが「バヨネットタイプ」である。
ローライフレックスやローライコードには複数のバヨネット規格が存在するため、ローライナーならどれでも装着できるわけではない。
代表的な規格は次の通りである。
| バヨネットタイプ | 代表的な径 | 主な対応例 |
|---|---|---|
| Bay I | 約28.5mm | ローライコードなど |
| Bay II | 約34mm | ローライフレックス3.5系など |
| Bay III | 約38mm | ローライフレックス2.8系など |
| Bay IV | 約40mm | ワイドアングル系など |
ただし、ローライの製品はモデルや製造時期によって対応関係が異なるため「3.5だからBay II」「2.8だからBay III」と単純に判断するのは避けたい。
購入する際には、自分が所有しているカメラの正確なモデルとバヨネット規格を確認することが重要である。
また、ここで混同しやすいのが「ローライナー1~3」と「Bay I~IV」である。
この2つはまったく別の分類である。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| ローライナー1・2・3 | 接写できる撮影距離の違い |
| Bay I・II・III・IV | カメラへ取り付ける規格の違い |
例えば「Rolleinar 1 Bay III」と表記されていれば、ローライナーの「1」であり、取り付け規格は「Bay III」という意味になる。
したがって、中古市場で商品を探す場合は「ローライナー1」だけで検索して購入しないことが大切である。
ローライナーの取り付け方
ローライナーの取り付けは、レンズそのものを交換するわけではないため比較的簡単である。
カメラ側のバヨネットとローライナーのツメを合わせて固定するだけなので、レンズ交換式カメラに慣れていない人でも扱いやすい。
ただし、撮影用とビュー用では役割が異なるため、取り付ける場所を間違えないよう注意したい。
①撮影用レンズを装着する

まず、ローライナーの撮影用レンズを下側の撮影レンズへ取り付ける。
カメラ側のバヨネットとローライナーのツメを合わせ、所定の方向へ回して固定する。
ローライナーは撮影用とビュー用で形状が異なるため、どちらが撮影用なのかを確認してから装着するとよい。
一般的な2ピースタイプでは、撮影用とビュー用を見分けるための形状上の違いがある。
②ビュー用レンズを装着する

次に、ビュー用レンズを上側のビューレンズへ取り付ける。
こちらもカメラ側のバヨネットとローライナー側の取り付け部を合わせ固定する。
ビュー用には視差補正のための光学系が組み込まれているため、撮影用と入れ替えて使用しないことが重要である。
③赤い印が上部にくるように合わせる

ビュー用ローライナーを装着したら、赤い印が上側にくるように位置を合わせる。
この赤い印は単なる目印ではなく、視差補正を正しく機能させるための位置決めに関係している。
したがって、装着後は必ず赤い印の位置を確認しておきたい。
装着時のチェックポイント
- 撮影用を下側へ装着する
- ビュー用を上側へ装着する
- ビュー用の赤い印を上側に合わせる
- 両方が確実に固定されているか確認する
ローライナーを正しく装着すると、ファインダーを見ながら近距離でピントを合わせられるようになる。
ただし、近距離撮影では通常撮影以上に視差の影響が大きくなる。ローライナーのビュー用レンズによって視差補正が行われるとはいえ、撮影距離や構図によっては画面上の見え方と実際の写りに差が生じることがある。
特にローライナー3は被写体との距離が非常に近くなるため、フレーミングには余裕を持たせると安心である。
まとめ:ローライフレックス用接写レンズ「ローライナー」

ローライナーは通常撮影のためのアクセサリーではない。装着したまま遠距離の被写体を撮影するものではなく、それぞれのローライナーに設定された撮影距離の範囲内で使用する必要がある。中古品を購入した場合はレンズの状態だけでなく、バヨネット部分の変形や固着、光学面のカビ・クモリなども確認しておきたい。
ローライナーのポイントを簡潔にまとめる。
- ローライ純正の接写アクセサリー
- 1~3で撮影距離が異なる
- 撮影用とビュー用を使用する
- ビュー側で視差を補正する
- バヨネット規格の確認が必要
- 赤い印を上側に合わせる
- 中古品は状態も確認する

