二眼レフカメラの代表格として知られるローライフレックスは単なる撮影機材ではなく、その独特な撮影スタイルそのものに魅了される人も多いカメラである。
そんなローライフレックスに魅せられた一人が高橋貴子さんである。
高橋さんは写真家を本業とする人物ではなく、パン教室「アトリエリブラ」の主宰や教室運営、出版などの活動を行ってきた人物である。その一方で、ローライフレックスを使って写真を撮り続け、電子書籍による写真集「ローライフレックスに恋をして」を発表している。
この写真集の特徴は、ローライフレックスならではの6×6判スクエアフォーマットと、モノクロームによる表現にある。単にカメラで撮影した写真を並べた作品ではなく、高橋さん自身のローライフレックスとの出会いや、二眼レフというカメラへの思いが作品全体の背景となっている。
本記事では「ローライフレックスに恋をして」全3作品について、それぞれのテーマや特徴、高橋貴子さんとローライフレックスの出会いまで詳しく紹介する。
- 全3作品のテーマと特徴
- 6×6モノクロ写真の魅力
- 高橋貴子さんとローライとの出会い
- 写真以外の活動や著書
ローライフレックスに恋をして|高橋貴子
ここでは、ローライフレックスを使って撮影された写真集の中でも、特に興味深い作品「ローライフレックスに恋をして」を紹介したい。
著者は高橋貴子さんである。
「ローライフレックスに恋をして」は、二眼レフのクラシックカメラであるローライフレックスを使ったモノクロ写真集で、ローライとの出会いや6×6スクエアフォーマットへのこだわりなどが作品の大きな特徴となっている。高橋さん自身も、ローライフレックスへの思いを込めた写真集として紹介されている。
2014年に第1作と第2作が発表され、その後2016年に第3作が加わり、シリーズは3作品となった。
シリーズ一覧
| 作品 | テーマ | 発売日 | ページ数* |
|---|---|---|---|
| vol.1 | classic | 2014年1月15日 | 46ページ |
| vol.2 | city | 2014年1月18日 | 37ページ |
| vol.3 | nature | 2016年11月2日 | 39ページ |
ページ数は電子版の商品情報として紹介されている数値。
いずれも電子書籍として楽しめる写真集であり、紙の写真集とは異なる手軽さも魅力の一つである。
また、当時の記事では非常に低価格で購入できる写真集として紹介されており、ローライフレックスの写真に興味を持った人が気軽に作品世界へ入るきっかけにもなっていた。
「ローライフレックスに恋をして」の魅力
6×6のスクエアフォーマット、モノクローム、そしてローライフレックスそのものへの愛着。この3つが組み合わさることで、一般的なカメラ写真集とは異なる独特の世界観が生まれている。
さらに、第1作と第2作にはYouTubeで公開された特典フォトムービーもあり、静止画だけではなく映像として作品を楽しめる構成になっている。
高橋貴子さんとは?
高橋貴子さんは写真家を本業として活動してきた人物というより、パン教室の運営や教室経営・集客のコンサルティング、出版など幅広い分野で活動してきた人物である。
2011年から横浜で七つの天然酵母を楽しむパン教室「アトリエリブラ」を主宰し、パン講師として活動していた経歴を持つ。その後は教室運営の経験を生かし、教室開業や集客に関するコンサルティングへと活動の軸を広げている。
つまり「パン」と「写真」という一見するとまったく異なる分野を電子書籍という媒体によって結び付けていた点も、高橋さんの活動のユニークなところである。
写真集だけでなく、パンに関する書籍や教室開業・集客に関する書籍なども出版している。
特に興味深いのが、ローライフレックスとの出会いである。
高橋さんの著者プロフィールでは、次のように紹介されている。
2004年6月12日、10年目の結婚記念日にRollei Flexと出会い、私はローライに恋をした。
そして、高橋さんにとって初めて手にした自分のカメラが二眼レフだったという。
二眼レフの特徴である、上からファインダーをのぞくウェストレベル撮影では、一般的な一眼レフとは異なる視点で被写体を見ることになる。
さらに、ローライフレックスは6×6の正方形に近い画面を採用している。高橋さんはこの「鏡像」と「スクエア」の世界に魅せられ、風景を中心に撮影しながら自らモノクロームの世界を表現するため暗室にもこもったという。
この経験が「ローライフレックスに恋をして」という写真集につながっていく。
ローライフレックスに恋をして vol.1 classic

第1作は2014年1月15日に発売された「ローライフレックスに恋をして vol.1 classic」である。
タイトルどおり、テーマは「classic」。
横浜のホテルや建物などを中心とした写真で構成され、モノクロームによって古い建築物や街の雰囲気を印象的に切り取っている。
ここで重要なのは、単に古いものを撮影しているという点ではない。
6×6の正方形フォーマットは一般的な35mmフィルムの縦横比とは異なり、画面内の構図を独特なものにする。さらにモノクロームで撮影することで色彩情報が取り除かれ、光と影、形、質感、空間そのものが強く意識される。
そのため、ホテルや建物といった日常的な被写体であっても、どこか時間が止まったような印象を与える。
全46ページで当時の紹介では100円という非常に手頃な価格で販売されていた。
ローライフレックスの写真に興味があるものの、いきなり高価な写真集を購入するのは少し迷うという人にとっても、入り口として楽しみやすい作品である。
特典フォトムービー
第1作にはYouTubeで公開された特典フォトムービーも用意されていた。
写真集そのものだけでなく、写真を映像として鑑賞できる点も、このシリーズの面白いところである。
ローライフレックスに恋をして2 vol.2 city

第2作は2014年1月18日に発売された「ローライフレックスに恋をして2 vol.2 city」である。
テーマは「city」。
第1作の「classic」が古い建築やノスタルジックな空気感を強く感じさせる作品だったのに対して、第2作では都市を題材とすることで、よりシャープで造形的な写真表現が前面に出ている。
高橋さん自身の作品紹介でも、Vol.2は「city」をテーマにモノクロームによる造形美や時間・空間の表現を意識した作品として紹介されている。
全37ページで当時の価格は250円であった。
街というテーマはローライフレックスの6×6フォーマットとも相性がよい。
建築物や道路、街角などは正方形の画面の中に形を配置することで、水平・垂直のラインや光と影を意識した構図を作りやすい。
また、モノクロ写真では看板や建物の色そのものではなく、明暗差や輪郭、素材感が目立つ。そのため「city」というテーマを色彩に頼らず都市の造形として見せている点が本作の面白さである。
特典フォトムービー
第2作にも特典フォトムービーが用意されていた。
第1作と合わせて見ることで「classic」から「city」へと変化する高橋さんの写真表現を映像でも楽しむことができる。
ローライフレックスに恋をして3 vol.3 nature

第3作は2016年11月2日に発売された「ローライフレックスに恋をして3 vol.3 nature」である。
テーマは「nature」。
第1作の「classic」、第2作の「city」に続き、第3作では都市や建築物から離れ、自然そのものへと視線が向けられている。
高橋さんの公式な作品紹介では「nature」において自然や生き物が持つ生命力、畏怖、神秘などを表現した作品とされている。
撮影地として紹介されているのが屋久島である。
屋久島は深い森林や巨大な樹木など、圧倒的な自然環境で知られる場所である。
そのような場所を6×6のモノクロームで撮影すると、色鮮やかな風景写真とは異なる表情が現れる。
木々の表面、岩、霧、光と影など、自然を構成する要素そのものが強調されるからである。
全39ページ、当時の価格は250円。
「classic」「city」と続いてきたシリーズが「nature」に到達したことで、ローライフレックスを通して見る世界の幅広さも感じられる作品となっている。
高橋貴子さんが語るローライフレックス
最後に、高橋貴子さん自身がローライフレックスとの出会いや、その魅力について語っている内容にも注目したい。
高橋さんにとってローライフレックスは単なる撮影機材ではない。
2004年6月12日の結婚記念日に出会ったことをきっかけに、二眼レフの「鏡像」と6×6の「スクエア」の世界に魅了され、風景を撮影し、さらにモノクロ写真を自分自身で表現するために暗室での作業にも取り組んでいる。
ここに「ローライフレックスに恋をして」というタイトルの意味がある。
カメラの性能やスペックを紹介するだけではなく「そのカメラを使うことで、どのような世界が見えるのか」という部分に重点が置かれているのである。
二眼レフは撮影時にファインダーへ映る像が左右反転する「鏡像」である。この独特の見え方と、6×6のスクエアフォーマットが組み合わさることで、35mm判のカメラとは違った構図を自然と意識するようになる。
高橋さんが魅了されたのも、まさにこのローライフレックス独自の世界だったと考えられる。
まとめ:高橋貴子さんとローライフレックス

写真家を本業とする人物の作品とはまた違い、パン教室の運営や出版など幅広い活動を行ってきた高橋さんが趣味や表現としてローライフレックスと向き合った点も興味深い。特に二眼レフの魅力を「鏡像」と「スクエア」という視覚的な特徴から捉えている点はローライフレックスを使ったことがない人にも参考になる部分だ。
- 全3作品の写真集
- 6×6のモノクロ作品
- 「classic」「city」「nature」がテーマ
- 2004年にローライと出会う
- パン教室や出版でも活動
