この記事では、Rolleiflex用アクセサリーである「ディフューザー(Diffusor)」について詳しく解説する。
Rolleiflexのディフューザーは、単なる「セレン式露出計のカバー」ではない。露出計の受光部に装着することで、通常の反射光式測光から入射光式測光へ切り替えるための重要なアクセサリーである。
さらに、ディフューザーには露出計を保護する役割もあり、Rolleiflexをコレクションするうえでは見逃せない付属品の一つだ。
本記事ではディフューザーの役割や正しい使い方、対応機種、さらに純正品と非純正品を見分ける際のポイントまで詳しく紹介する。
- ディフューザーは入射光式測光に切り替える
- 対応するRolleiflexの機種を紹介
- 純正品と非純正品の違いを解説
- 本物を見分けるポイントを紹介
Rolleiflex用ディフューザーの役割とは

Rolleiflexの一部モデルには、セレン光電池を使用した露出計が搭載されている。
ディフューザーは、この露出計の受光部に取り付ける小さな白色のパーツである。
一見すると「露出計を保護するためのカバー」のように見えるが、最大の特徴は装着することで入射光式測光が可能になることにある。
つまり、ディフューザーには大きく分けて次の2つの役割がある。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 測光方式の変更 | 反射光式から入射光式へ切り替える |
| 受光部の保護 | セレン光電池を覆い、ホコリなどから保護する |
ただし、露出計を保護する「カバー」と、測光方式を変更する「ディフューザー」は厳密には目的が異なる。Rolleiflexの純正ディフューザーは撮影時には入射光測光のために使用するアクセサリーであり、単純な保管用キャップとは区別して考えたほうがよい。
実際、Rolleiflex 2.8F/3.5Fの取扱説明書にも「diffusor」を使用した入射光測定について記載されている。(マニュアルシェルフ)
反射光式と入射光式

ディフューザーの意味を理解するには「反射光式」と「入射光式」の違いを知っておく必要がある。
反射光式測光は被写体に当たって反射してくる光を測定する方式である。
一方、入射光式測光は被写体そのものの明るさではなく、被写体に当たっている光の量を測定する方式だ。
Rolleiflexでは通常、露出計の受光部にディフューザーを装着せずに測光すると、被写体から反射してくる光を測定する。
ところが、ディフューザーを装着すると受光部に入る光が拡散され、入射光測光として使用できるようになる。
入射光式測光とは?
被写体に当たっている光を測定する方式。被写体そのものの反射率の影響を受けにくいのが特徴である。反射光式測光とは?
被写体から反射してくる光を測定する方式。画面内の被写体の明るさや色、背景などの影響を受ける。
特に入射光式が有効なのは、逆光など画面内の明暗差が大きい場面だ。
Rolleiflex 2.8F/3.5Fの取扱説明書では、逆光、雪や水面など明るい背景、小さな被写体とコントラストの強い背景などをディフューザーを使用した入射光測光が適する場面として挙げている。(マニュアルシェルフ)
ディフューザーの正しい使い方
ここは重要なポイントである。
ディフューザーを装着しただけで撮影が完了するわけではない。入射光測光では、被写体側に届いている光を測定する必要がある。
Rolleiflexの取扱説明書ではディフューザーを受光部に装着し、撮影位置から被写体に当たる光の方向を考えて測光するよう説明されている。
つまり、ディフューザーを付けた状態では、被写体の反射光を見るのではなく、被写体に届いている光そのものを測るという考え方になる。
このため、反射光式測光では被写体の色や明るさによって露出が左右されやすいのに対し、入射光式では被写体の反射率による影響を抑えられる。
ポイント
ディフューザーは「露出計の精度を単純に上げるパーツ」ではない。
測光方法そのものを変えるためのアクセサリーと考えるのが正確である。
また「ディフューザーを付けたほうが常に正確」というわけでもない。撮影条件によって反射光式と入射光式を使い分けることが重要である。
取り付けできる機種

Rolleiflexには非常に多くのモデルが存在するため、ディフューザーについても「Rolleiflexならすべて装着できる」と考えるのは適切ではない。
代表的な対応機種として、次のモデルが挙げられる。
| モデル | ディフューザー |
|---|---|
| Rolleiflex 2.8F | 対応 |
| Rolleiflex 3.5F | 対応 |
| Rolleiflex 2.8E | 対応 |
| Rolleiflex 3.5E | 対応 |
| Rolleiflex T | 対応 |
| Tele-Rolleiflex | 対応 |
| Wide-Angle Rolleiflex | 対応 |
さらに、流通している交換用ディフューザーの対応情報を見ると、2.8Cや2.8Dを含めた製品も存在する。したがって、特定の個体に取り付ける場合は、モデル名だけでなく露出計の形状や対応するディフューザーの仕様を確認することが重要である。
特に中古市場では「Rolleiflex用」とだけ記載されたディフューザーが販売されていることもある。購入する場合は自分のカメラのモデルと照合しておきたい。
速射ケースにも収納場所がある
ディフューザーの面白いところは、Rolleiflexの速射ケース(Ever-Ready Case)にも収納場所が用意されている点である。
2.8F/3.5Fの取扱説明書では、ディフューザーを速射ケースの前側のフラップに収納すると説明されている。
非常に小さなパーツなので、カメラ本体から外した後に紛失しやすい。
そのため、中古カメラを購入する際に「本体・ケース・ディフューザー」がそろっている個体は、付属品の状態という点でもチェックしておきたいところだ。
ディフューザーの本物と非純正品の見分け方

Rolleiflexのディフューザーを中古市場で探していると「純正」「オリジナル」「Rollei製」といった説明で販売されているものを見かけることがある。
一方で現在では純正品によく似た非純正品も流通している。
ここで注意したいのが、外観だけで純正・非純正を断定するのは非常に難しいという点である。
実際、Rolleiflexのユーザーコミュニティでも、純正品と中国製コピー品が外観上よく似ていることが話題になっている。
非純正品は中国製のコピー商品

現在、中古市場やオークションなどでは、Rolleiflex用として販売されている非純正ディフューザーが存在する。
純正品と形状がよく似ており、写真だけでは判別しにくいものもある。
そのため、
「見た目がRolleiflex純正品と同じだから純正」
とは限らない。
また、現在でも交換用として製造されたディフューザーが販売されているため「新品で購入できる=純正品」と判断することもできない。
純正品と非純正品を区別したい場合は販売者の説明だけではなく、製造時期、入手経路、形状、材質、色、成型状態などを総合的に確認する必要がある。
見分け方のポイントは色……ただし注意が必要
従来、純正品と非純正品を見分けるポイントとしてよく挙げられるのが「色」である。
手元の個体を比較すると非純正品には比較的白く見えるものがあり、純正品とされる古いディフューザーには、やや黄味を帯びた白色に見えるものがある。
ただし、色だけを根拠に純正・非純正を断定するのは危険である。
長期間使用された樹脂は紫外線や経年変化によって色味が変化する可能性がある。また、保管状態によっても見た目は変わる。
そのため「黄色っぽい=純正」「真っ白=偽物」という単純な判定方法ではなく、あくまで参考材料の一つとして考えるべきである。
さらに、ロゴや字体についてもコピー品が純正品に似せて作られているため、ロゴだけで判定するのも難しい。
純正・非純正を見分けるときの注意
色だけでは断定できない。
・色味
・成型状態やバリ
・形状
・材質や質感
・入手経路
・販売者の説明
・他の純正品との比較これらを総合して判断するのが安全である。
特に「希少な純正ディフューザー」という説明だけを見て、高額で購入するのはおすすめできない。
中古市場では純正品と非純正品の判別が難しいため「純正とされている」という表現と「純正であることが確認できる」ということは別問題として考えたい。
まとめ:Rolleiflexのディフューザーの役割と本物の見分け方

Rolleiflexのディフューザーは、単なる小さな白いキャップではない。「反射光式」と「入射光式」という2種類の測光方法を使い分けるための、実用性の高い専用アクセサリーである。しかも、現在では純正品と非純正品が混在しているため、コレクターにとってはカメラ本体だけでなく、この小さなディフューザーにも注目する価値がある。
Rolleiflex用ディフューザーのポイントを簡潔にまとめる。
- セレン式露出計に装着するアクセサリー
- 反射光式から入射光式へ切り替えられる
- 逆光などで特に有効
- 2.8F・3.5Fなどに対応
- 速射ケースに収納できる
- 純正品と非純正品が存在する
- 色だけでの判定は難しい
- 中古品は入手経路も確認したい
