「ローライ社は現在どうなっているのか」「ローライフレックスは今でも新品で買えるのか」と疑問に感じる人は多いはずだ。
結論からいえば現在のローライは、かつてのように一つの製造会社がカメラからフィルムまで一貫して手掛ける企業ではない。歴史的な製造会社の事業は複数の後継企業やブランドライセンス先へ分かれ、それぞれが異なる領域を担っている。
現在のローライを理解するうえで重要なのは**「ローライというブランド」と「かつてローライのカメラを製造していた会社」を分けて考えること**である。
現在もRolleiの名称を冠した製品は存在する。Rollei GmbH & Co. KGは写真・映像関連アクセサリーを展開し、Rollei 35 AFのようなフィルムカメラも登場している。一方、ブラウンシュヴァイクのDW Photo GmbHは旧Franke & Heideckeにつながる技術基盤を背景に、Hy6の生産やRolleiflex各機種の修理を続けている。
さらにフィルム分野ではHans O. Mahn GmbH & Co. KG(Maco Photo Products)がRolleiブランドのフィルムや薬品などを展開している。
つまり「ローライはなくなった」という表現だけでは現在の状況を正確に説明できない。会社としての歴史は途切れても、ブランド、技術、製品、サービスが別々の形で受け継がれているのである。
■記事のポイント
- ローライは現在もブランドとして存続
- ローライフレックスの量産体制は過去のもの
- Rollei 35 AFは現代の新しいフィルムカメラ
- DW Photoが旧ローライ製品をサポート
ローライ社の歴史と現在

ローライの歴史を語る際に欠かせないのが、1923年にブラウンシュヴァイクで創業したFranke & Heideckeである。
同社は二眼レフカメラのRolleiflexを生み出し、ローライというブランドを世界的なカメラブランドへ成長させた。
Rolleiflexは単なる中判カメラではなく、報道、スタジオ、ポートレートなど幅広い分野で使われたプロフェッショナル機であり、現在でも「ローライ」と聞けばRolleiflexを思い浮かべる人が多い。
しかし、その後の事業環境は大きく変化した。デジタルカメラの普及や中判フィルム市場の縮小などによって、かつての大量生産型カメラメーカーとしてのローライは姿を変えていく。
その後、Franke & Heideckeの事業を引き継いだDHW Fototechnikを経て、現在はDW Photo GmbHがブラウンシュヴァイクの拠点で旧製品の修理・アップグレードなどを担っている。DW Photo自身もFranke & Heideckeを起源としてHy6の生産と旧製品の修理を行っていると説明している。
ここが「ローライ社の現在」を理解する最大のポイントである。
ローライ=現在も一社ですべてを製造するカメラメーカー、ではない。
現在はブランド、カメラ、アクセサリー、フィルム、修理・保守などが複数の主体に分かれている。
この構造を理解すると「ローライフレックスは製造終了なのに、なぜRolleiブランドの新品が存在するのか」という疑問も解消しやすい。
ローライフレックスの現在
Rolleiflexは今も使えるのか
Rolleiflexそのものは現在でも十分に撮影に使える。
むしろ現在のRolleiflexを考える場合「新品の現行カメラ」として見るよりも、歴史的な機械式・光学式カメラを現役で使うための環境が残っていると考えるほうが実態に近い。
特に二眼レフのRolleiflexは1950~1960年代を中心とした個体も多く、半世紀以上前のカメラが中古市場で普通に流通している。
ただし、古いカメラならではの注意点もある。
シャッター、絞り、ピント機構、ミラー、ファインダー、フィルム送りなど、機械的に動作する部分は経年劣化する。外観がきれいでも内部のグリスやシャッター機構が正常とは限らない。
そのため中古のRolleiflexを購入する場合は外観だけではなく、
- シャッター速度
- 絞り羽根
- フィルム送り
- ピントノブ
- ファインダー
- ミラー
- レンズのカビ・クモリ
- 整備履歴
まで確認することが重要になる。
ローライフレックスの新品は買えるのか
ここは誤解されやすいポイントである。
現在、かつてのようにRolleiflex二眼レフを量産する体制が存在しているわけではない。DW Photoは現在、Rolleiflex Twin-Lensを含む旧製品の修理を受け付けている一方、公式サイトでは現在の生産製品としてHy6を掲げている。
したがって、
「現在もRolleiflex二眼レフが新品の現行量産モデルとして普通に販売されている」
と考えるのは適切ではない。
新品のRolleiflex二眼レフを探している場合、販売店に残る未使用在庫や特殊な流通品などを除けば基本的には中古市場を中心に探すことになる。
一方、Rolleiflex 6000シリーズやHy6などについては話が異なる。DW Photoは現在も6000シリーズやRolleiflex Twin-Lens各モデルのサービスを受け付け、Hy6については生産も行っている。
Rolleiflexを買うなら何を見るべきか
中古のRolleiflexは単純に「年式が新しいほど良い」というものではない。
重要なのはどの個体が現在も正常に動く状態なのかという点である。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| レンズ | カビ・クモリ・傷・バルサム |
| シャッター | 全速域で正常に作動するか |
| 絞り | 羽根が粘らず動くか |
| フィルム送り | 巻き上げ・カウンターが正常か |
| ピント | ノブが滑らかに動くか |
| ファインダー | ミラー・スクリーンの状態 |
| 整備履歴 | オーバーホール歴の有無 |
| 部品 | 交換部品の状態 |
特に二眼レフは外観の美しさだけで判断するのは危険である。
「美品」と「実写可能な整備済み個体」は必ずしも同じではない。
ローライの現在を支えるDW Photo
DW Photoとは何か
DW Photo GmbHはドイツのブラウンシュヴァイクに拠点を置く企業で、Franke & Heideckeをルーツとし、現在はHy6の生産と旧Rolleiflex製品の修理・アップグレードなどを行っている。
修理対象として公式に掲載されているのは、Hy6 mod2、DHW Hy6、Rolleiflex 6008、6006、6003、6001、SL35、SL66、そしてRolleiflex Twin-Lens各バージョンなどである。レンズについても6000系や二眼レフ用レンズなどが対象となっている。
これはRolleiflexユーザーにとって非常に重要な意味を持つ。
カメラ本体の製造が終了していても、修理を受けられる専門的な窓口が存在すれば古いカメラを現役で使い続けることができるからである。
DW Photoで修理できるとは限らない
ただし「DW PhotoならすべてのRolleiflexを必ず修理できる」という意味ではない。
公式サイトでも対応機種は具体的に列挙されており、古いカメラほど部品や症状によって対応可否が変わる可能性がある。
海外から修理を依頼する場合は、いきなりカメラを発送するのではなく、
- 機種名を伝える
- シリアル番号を伝える
- 症状を具体的に説明する
- 修理可能か問い合わせる
- 見積もりや納期を確認する
- 発送方法を確認する
という順番で進めるのが安全である。
特に日本からドイツへ送る場合は送料だけでなく、輸送中の破損、保険、税関手続きなども考慮したい。
Rollei GmbHの現在
「ローライ社」という言葉を検索すると現在のRollei GmbH & Co. KGも表示される。しかし、ここでも注意が必要である。
現在のRollei GmbH & Co. KGは、かつてのFranke & Heideckeと同じ意味でのカメラ製造会社と考えるべきではない。
現在のRolleiブランドでは、三脚、フィルター、照明、カメラバッグ、スキャナー、レンズなど、写真・映像関連製品が幅広く展開されている。実際、現在の公式サイトでもRolleiブランドの交換レンズなどが販売されている。
つまり、現在のRollei GmbHは「ローライというブランドが写真市場から消えないための重要な存在」ではあるものの、Rolleiflexを生産していた歴史上の製造会社と同一視するのは適切ではない。
ローライのブランドは消滅していない
ここは読者の疑問に直接答える重要な部分である。ローライというブランドは現在も存在している。
ただし、
ローライというブランドが存在することと、昔のRolleiflexを製造した会社がそのまま存続していることは別問題である。
現在はブランドを使用する企業や、旧製造会社の技術・サービスを引き継ぐ企業が複数存在する。この「分散した継承」が現在のローライを理解する鍵になる。
Rollei 35 AFの登場
Rollei 35 AFとは
近年のローライを象徴する製品の一つがRollei 35 AFである。
これは1960年代から続くRollei 35のコンセプトを現代に再構築した35mmフィルムカメラである。
従来のRollei 35が小型ボディと高性能なレンズを組み合わせた機械式コンパクトカメラだったのに対し、Rollei 35 AFでは現代的な電子制御とオートフォーカスを取り入れている。
公式仕様では、35mmフィルムを使用し、35mm F2.8・5枚構成のガラスレンズ、LIDARによる70cm~無限遠のオートフォーカス、1秒~1/500秒のシャッター速度、オートおよびマニュアル露出に対応する。
つまり、名前はクラシックでも中身は現代的なフィルムカメラである。
Rollei 35 AFは昔のRollei 35なのか
これは「復刻版」と単純に考えないほうがよい。
Rollei自身の説明によれば、Rollei 35 AFはMiNTとの協力によって開発された製品であり、オートフォーカスや内蔵フラッシュなどを搭載しながら、初代Rollei 35のコンパクトなデザインや思想を現代に再構築することを狙った製品である。
Rollei 35 AFの位置づけ
「昔のRollei 35をそのまま復刻したカメラ」ではなく、Rollei 35という歴史的なコンセプトを現代の技術で再解釈した新世代のフィルムカメラと考えるのが分かりやすい。
公式仕様上の重量は242gで、LIDARオートフォーカス、電子式の露出制御、OLED表示などを採用している。
Rollei 35 AFは新品で買える
Rolleiflex二眼レフとは違い、Rollei 35 AFは現在の新品製品として流通している。
そのため、
「ローライの新品カメラはもう存在しない」
という理解も正確ではない。
より正確には、
「Rolleiflex二眼レフの量産という意味では過去の時代だが、Rolleiブランドの新品フィルムカメラは現在も存在する」
という状況である。
この違いはローライ社の現在を調べる際に非常に重要である。
ローライフィルムの現在
ローライフィルムは誰が作っているのか
カメラだけを見ていると分かりにくいが、Rolleiブランドは現在もフィルム市場で存在感を持っている。
フィルム分野ではHans O. Mahn GmbH & Co. KG、いわゆるMaco Photo Productsが重要な役割を担っている。
現在のRollei Analog公式サイトでは、RPX、Retro、Superpan、Infrared、Orthoなどのフィルムに加え、印画紙や現像薬品などもラインアップされている。
つまり「ローライのフィルム」という名称が残っているのは、かつてのRolleiflex製造工場がフィルムを製造しているからではない。
ブランドライセンスなどを通じて、Maco Photo ProductsがRolleiブランドの写真材料を展開しているという構造である。
ローライフィルムは今後も買えるのか
フィルムはカメラ本体とは異なり消耗品である。そのため継続供給が重要になる。
現在もRollei Analogでは複数のフィルム、印画紙、現像薬品が掲載されており、ローライという名前の写真材料ブランドは継続している。
ただし、フィルムはすべてを一つの工場が製造しているとは限らない。
写真フィルム市場では原反を製造するメーカー、乳剤やフィルムを加工する企業、ブランドを管理する企業、販売会社など、複数の企業が関わることがある。
したがって、ローライフィルムを購入する際には「Rolleiという会社が全部を自社工場で製造している」と考えないことが重要である。
ローライの現在を整理する
ここまでの内容を整理すると、現在のローライは次のような構造になっている。
| 分野 | 現在の主体 | 主な役割 |
|---|---|---|
| ブランド・写真用品 | Rollei GmbH & Co. KGなど | 写真・映像用品、製品展開 |
| 現行フィルムカメラ | Rolleiブランド+MiNTとの協力 | Rollei 35 AF |
| 中判システム | DW Photo | Hy6の生産 |
| 旧Rolleiflex | DW Photo | 修理・保守・アップグレード |
| フィルム | Hans O. Mahn / Maco | Rollei Analogブランド |
| 二眼レフ | 中古市場中心 | 既存個体を整備して使用 |
この表を見ると「ローライ社は現在どうなっているのか」という疑問への答えがかなり明確になる。
ローライは消滅したのではなく、かつて一つの会社に集約されていた役割が分散しているのである。
ローライフレックスを今買うなら
新品より中古が中心
現在、二眼レフのRolleiflexを購入したいのであれば中古市場が基本になる。そこで重要なのは希少性だけで価格を判断しないことだ。
ヴィンテージカメラは同じモデルでも、保存状態や整備状態によって実用性が大きく異なる。特に「コレクション用」と「撮影用」では選ぶべき個体が変わる。
撮影目的なら外観の多少の傷よりも「正常に撮影できるか」を優先したほうがよい。
整備履歴を重視する
中古Rolleiflexを選ぶ際にはオーバーホールや修理の履歴が大きな判断材料になる。
「整備済み」と記載されていても、どこまで整備したのかを確認したい。
例えば、
- シャッター調整
- 絞り清掃
- ピント機構調整
- フィルム送り調整
- レンズ清掃
- ミラー交換
- ファインダー清掃
など、具体的な作業内容まで分かれば安心感が高まる。
ローライの現在は「終わった」のではない
Rolleiflexという名前から「ローライはもうなくなった会社」と考えるのは簡単だ。しかし、現在の状況を見るとそれだけでは説明できない。
Rolleiflex二眼レフの大量生産時代は終わった一方で、DW Photoが旧製品の修理を受け付け、Hy6を生産している。
RolleiブランドではRollei 35 AFという新しいフィルムカメラも登場している。
さらにフィルム分野ではMaco Photo ProductsによってRolleiブランドのフィルムや薬品が展開されている。
このため現在のローライを一言で表現するなら、
「カメラメーカーとしてのローライは大きく姿を変えたが、ブランドと技術、製品、フィルム、修理体制はそれぞれの形で現在にも受け継がれている」
という表現が最も実態に近い。
ローライ社の今後
今後のローライを考えるうえで、過去と同じ形のカメラメーカーへ戻ると考える必要はない。
むしろ現在の市場ではRollei 35 AFのようなフィルムカメラ、写真アクセサリー、フィルム・薬品、そして既存Rolleiflexのメンテナンスという複数の方向からブランドが存続している。
特にフィルムカメラ市場では単なる復刻ではなく、昔のデザインに現代的な機能を組み合わせる製品への関心が高まっている。Rollei 35 AFはその代表例といえる。
一方、Rolleiflexについては新製品を待つより、現在残されている個体を良好な状態で維持していくことのほうが現実的である。
専門修理の窓口が存在することは古いRolleiflexをこれから購入する人にとっても大きな意味を持つ。
まとめ:ローライ社の現在

ローライ社の現在を理解するポイントは単純な「倒産した・復活した」という話ではない。現在のローライを調べる際に最も重要なのは「ローライ」という名前だけで一つの会社だと考えないことである。かつてRolleiflexを生み出した製造会社の時代は終わった。しかし、そのブランド名、設計思想、技術、修理ノウハウ、フィルム、そして新しいフィルムカメラは、それぞれ別の形で現在まで残っている。製造会社としてのローライから複数の企業と製品によって受け継がれるローライへ。これが現在のローライを最も端的に表す姿なのだ。
- ローライはブランドとして現在も存続
- Rolleiflex二眼レフの量産時代は終了
- DW Photoが旧Rolleiflexをサポート
- DW PhotoはHy6を現在も生産
- Rollei 35 AFは現行フィルムカメラ
- Rollei 35 AFはMiNTとの協力で開発
- ローライフィルムはMacoが展開
- フィルムや薬品も現在入手可能
- Rolleiflex購入は中古・整備状態が重要
- 現在のローライは複数企業で受け継がれている
