Published in 1947, just two years after the end of World War II, Rollei-Type Camera by Kunio Kitano is a Japanese photographic guide devoted to the Rolleiflex, Rolleicord, and other reflex cameras of the period. In addition to photographs and specifications of various cameras, the book includes material on Franke & Heidecke, its founders, and the Rollei factory. Today, it provides a fascinating glimpse into how Rollei and twin-lens reflex cameras were introduced to Japanese photography enthusiasts in the immediate postwar era.
昭和22年(1947年)に光画荘から発行された、北野邦雄氏の『ロライ型カメラ』。正式には「北野邦雄写真機叢書 第四輯」にあたる一冊であり、ローライフレックスやローライコードを中心とした「ロライ型」のカメラについて紹介した写真機解説書である。
本書が刊行されたのは終戦からわずか2年後。現在のように海外製カメラの情報を簡単に入手できなかった時代にローライをはじめとする二眼レフカメラの構造や機種、メーカーについて日本語で紹介している点は非常に興味深い。
現存する一冊を実際に読みながら『ロライ型カメラ』の内容とともに、戦後間もない日本で二眼レフカメラがどのように紹介されていたのかを見ていこう。
館長の購入記録
・購入日:2025/09/13
・購入場所:Yahoo!オークション
・購入価格:¥2,185

DATA/データ
- Title:Rollei-Type Camera
- Japanese Title:Rorai-gata Kamera(ロライ型カメラ)
- Series:Kunio Kitano Camera Series
- Volume: No.4
- Author: Kunio Kitano
- Publisher: Kogaso
- Printing Date: July 25, 1947
- Publication Date: August 1, 1947
- Publication Year: 1947
- Original Price: ¥30
- Main Subject: Rolleiflex, Rolleicord, and other Rollei-type reflex cameras
■記事のポイント
- 北野邦雄氏の『ロライ型カメラ』紹介
- 昭和22年発行という歴史的背景
- ローライフレックスやローライコードの掲載内容
- 当時の二眼レフ資料としての価値
北野邦雄氏『ロライ型カメラ』とは

『ロライ型カメラ』は北野邦雄氏による「北野邦雄写真機叢書」の第四輯として刊行された写真機解説書である。
現物の奥付によれば昭和22年7月25日に印刷され、同年8月1日に発行されている。発行所は東京都中央区銀座に所在した光画荘で定価は30円であった。
当時と現在では物価体系が大きく異なるため単純比較はできないが、消費者物価指数による換算では当時の30円は現在の600円前後が一つの目安となる。
- 『ロライ型カメラ』の基本データ
- 戦後間もない昭和22年に刊行
- 表紙を飾るローライフレックスとローライコード
- 「まえがき」「あとがき」はない
『ロライ型カメラ』の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | ロライ型カメラ |
| シリーズ名 | 北野邦雄写真機叢書 |
| 巻号 | 第四輯 |
| 著者 | 北野邦雄氏 |
| 発行者 | 北野邦雄氏 |
| 発行所 | 光画荘 |
| 印刷日 | 昭和22年7月25日 |
| 発行日 | 昭和22年8月1日 |
| 発行年 | 1947年 |
| 定価 | 30円 |
奥付には「第四輯 ロライ型カメラ」と明記されているほか、シリーズの既刊・続刊についても記載されている。
確認できる範囲では既刊として「ライカ型カメラ」「ライカの使い方」「ミニアチュアックスの使い方」が掲げられ『ロライ型カメラ』がそれらに続く第四輯として位置付けられている。
さらに続刊として、シックス判カメラ、セミ判カメラ、ベビー判カメラ、ベビーパールの使い方、小型シネなどが予告されており、当時のさまざまな写真機を体系的に取り上げようとしたシリーズであったことがうかがえる。
戦後間もない昭和22年に刊行

本書の特徴を考えるうえで重要なのが昭和22年、すなわち1947年という発行時期である。
第二次世界大戦の終結からまだ2年ほどしか経過していない時期であり、そのような時代にドイツを代表するカメラであったローライフレックスやローライコードを中心とした解説書が日本で刊行されていたことは注目に値する。
現在であれば海外のカメラについてメーカー資料や専門サイト、海外の書籍などから容易に調査できる。しかし、1947年当時は情報そのものへのアクセスが大きく異なっていた。
そうした環境のなかで刊行された本書は、単なる古いカメラ本というだけではなく戦後日本における海外製カメラの受容を知る資料として見ることもできる。
表紙を飾るローライフレックスとローライコード
表紙には大きく「ロライ型カメラ」と書かれ、その中央には二台の二眼レフカメラが描かれている。
向かって左側には「ROLLEIFLEX」、右側には「ROLLEICORD」の名称が確認できる。
背景にも、
ROLLEIFLEX
ROLLEICORD
という文字が繰り返し配置されており、本書においてこの二機種が中心的な存在であることを強く印象付けるデザインだ。
さらに下部には筆記体で「Kitano’s」、その下に「CAMERA SERIES NO.4」と記されている。
70年以上前の出版物でありながら、英文表記とカメラのイラストを大胆に組み合わせた表紙は非常に印象的である。当時の写真愛好家にとって「ROLLEIFLEX」という名称そのものが特別な響きを持っていたことを想像させる。
「まえがき」「あとがき」はない
今回確認した本書には「まえがき」や「あとがき」に相当する文章は収録されていない。
そのため、北野邦雄氏自身が本書を出版した目的や、ロライ型カメラを取り上げた理由を直接説明した文章から読み取ることはできない。
この点については無理に意図を推測するのではなく、実際に収録された機種や本文の内容、構成そのものから本書の性格を見ていく必要がある。
『ロライ型カメラ』に見る戦後の二眼レフ

本書を開いて興味深いのは、ローライフレックスだけを単独で解説しているわけではない点である。
題名にある「ロライ型」はローライという一つのブランドだけではなく、ローライに代表される形式のカメラを捉える言葉として用いられていることが本文から見えてくる。
- 小型レフレックスをサイズ別に分類
- ローライフレックスが代表する二眼レフ
- フォクトレンダー・ブリラントも掲載
- フランケ&ハイデッケ社も紹介
- パウル・フランケ氏とラインホルト・ハイデッケ氏
- 「ロライ型」という言葉が伝える時代
- 現代から見た『ロライ型カメラ』の価値
小型レフレックスをサイズ別に分類

本書では冒頭部分で「小型レフレックスのサイズ」と題し、小型レフレックスカメラを判型によって整理している。
掲載されている分類を見ると、次のような機種名を確認できる。
| 判型 | 種類 | 掲載されている主なカメラ |
| 6×6判 | 一眼レフ | レフレックス・コレレ、プリマーフレックスほか |
| 6×6判 | 二眼レフ | ロライフレックス、ローライコードほか |
| 4×6.5判 | 一眼レフ | エキザクタ |
| 4×4判 | 二眼レフ | ロライフレックス4×4 |
| ライカ判 | 一眼レフ | キネエキザクタ |
| ライカ判 | 二眼レフ | コンテフレックス |
ここからも、本書が単なるローライ製品の説明書ではなく、レフレックスカメラという大きなカテゴリーの中から「ロライ型」を位置付けようとしていることが分かる。
ローライフレックスが代表する二眼レフ
本文ではローライフレックスについて非常に象徴的な説明が行われている。
小型レフレックスにはさまざまな形式が存在するものの、そのなかでもローライフレックスを代表とする一群のカメラが当時大きな存在感を持っていたことが読み取れる。
二眼レフカメラは上下に二つのレンズを備え、上側のレンズをファインダー用、下側を撮影用として使用する構造を基本とする。
ローライフレックスはこの形式を代表するカメラとして世界的に知られるようになり、その影響を受けた数多くの二眼レフカメラが各国で誕生した。
『ロライ型カメラ』という書名そのものが当時「ローライ」が一つのメーカー名を超えて、二眼レフというカメラ形式を連想させる存在であったことを示す資料ともいえる。
フォクトレンダー・ブリラントも掲載
本書にはローライ以外の二眼レフカメラも登場する。
その一つが、フォクトレンダーの「BRILLANT」である。
掲載ページには大きく、
BRILLANT I 6×6
と記され、カメラの写真とともに本体サイズ、重量、レンズ、シャッターなどの仕様が紹介されている。
本文では旧型と新型の違いについても触れられており、単に製品名を列挙するだけではなく、各カメラの構造的特徴について解説していることが分かる。
このようにローライ以外の機種も収録されていることから、本書を理解する際には「ローライの本」というよりもローライを基準として当時のロライ型カメラを俯瞰した専門書と捉えた方が実態に近い。
フランケ&ハイデッケ社も紹介

本書のなかでも特に資料的価値を感じさせるのが、ローライを生み出したフランケ&ハイデッケ社を紹介したページである。
50ページには「フランケ・ハイデッケ社」という見出しが設けられ、人物写真が掲載されている。
さらに右ページには「ロライ工場の一部」とされる工場内部の写真が大きく掲載されており、多くの作業者が並ぶ当時の製造現場を見ることができる。
カメラ本体のスペックや使用方法だけではなく、そのカメラを製造する企業や工場にまで誌面を割いている点は非常に興味深い。
日本の読者にローライというカメラを説明するうえで、製品だけでなく、それを生み出したドイツのメーカーについても紹介する必要があると考えられていたことがうかがえる。
パウル・フランケ氏とラインホルト・ハイデッケ氏
人物写真について本文ではフランケ&ハイデッケ社を創業した二人について紹介している。
ローライの歴史を語るうえで欠かせないのが、パウル・フランケ氏とラインホルト・ハイデッケ氏である。
フランケ氏は商業面をハイデッケ氏は技術面を担いながら会社を発展させ、ローライフレックスを世界的なカメラへと成長させていった。
1947年の日本の専門書に両氏の写真と工場内部の写真が掲載されていることは、本書が製品紹介だけに終始していなかったことを示している。
「ロライ型」という言葉が伝える時代
現在では「二眼レフカメラ」あるいは英語の「Twin-Lens Reflex Camera」「TLR」という呼称が一般的である。
しかし本書のタイトルは『二眼レフカメラ』ではなく、あえて『ロライ型カメラ』となっている。
この表現は本書を読み解くうえで重要である。
ローライフレックスの成功後、その基本的なスタイルを受け継いだ二眼レフカメラが数多く登場した。そのため当時の日本ではローライに似た形式のカメラを理解するうえで「ロライ型」という表現が極めて分かりやすかったと考えられる。
やがて日本でも1950年代を中心に二眼レフカメラが大量に登場し、国産二眼レフの一大ブームへとつながっていく。
本書が刊行された1947年は、その本格的な隆盛よりも前である。
その意味で『ロライ型カメラ』は日本における二眼レフ黄金期の前夜を記録した資料としても興味深い一冊である。
現代から見た『ロライ型カメラ』の価値
クラシックカメラについて調べる場合、現在では製造番号、製造年、レンズ、シャッター、仕様変更など詳細な情報を容易に検索できる。
一方『ロライ型カメラ』の面白さは、現代の視点から整理された情報ではなく、1947年当時の視点でカメラが語られていることにある。
どの機種が取り上げられ、どのような分類が行われ、ローライフレックスがどのように説明されていたのか。
そこには現代の資料とは異なる価値がある。
特にローライフレックスやローライコードの歴史を研究する場合、メーカー側の資料だけでなく、それらのカメラが当時の日本でどのように理解されていたのかを知ることも重要である。
そうした意味で北野邦雄氏の『ロライ型カメラ』はカメラそのものの歴史と、日本におけるクラシックカメラ文化の双方を考えることのできる資料なのである。
まとめ:北野邦雄:ロライ型カメラ

北野邦雄氏の『ロライ型カメラ』はローライフレックスやローライコードだけでなくフォクトレンダー・ブリラントをはじめとするロライ型カメラを取り上げ、さらにフランケ&ハイデッケ社やローライ工場についても紹介している。何より興味深いのは日本で二眼レフカメラが大きなブームを迎える以前に刊行されていたことである。戦後間もない日本の写真愛好家がローライや二眼レフをどのように見ていたのかを現在に伝える貴重な一冊といえるだろう。
- 北野邦雄氏による写真機解説書
- 北野邦雄写真機叢書の第四輯
- 昭和22年8月1日発行
- 発行所は光画荘
- 当時の定価は30円
- ローライフレックスを中心に解説
- ローライコードも取り上げられている
- ローライ以外の二眼レフも掲載
- フランケ&ハイデッケ社を紹介
- 戦後日本の二眼レフ史を知る貴重な資料
