デジタルカメラが主流となった現在でも、二眼レフカメラで撮影された数多くの写真が120フィルム(ブローニーフィルム)として残されている。
現像したネガやポジをそのまま保管するのもフィルム写真ならではの楽しみ方だが、パソコンやスマートフォンで閲覧したりWebサイトへ掲載したりするためにはフィルムをデジタルデータへ変換する必要がある。
そこで活躍するのが「フィルムスキャナー」である。
今回紹介するA-Power TCS-566は一般的な35mmフィルムだけでなく、二眼レフカメラで広く使用されている120フィルムにも対応したフィルムスキャナーだ。
約500万画素のCMOSイメージセンサー、2.4型カラー液晶、SDカードスロットなどを搭載し、パソコンを使用せずフィルムをデジタル化できることも特徴である。
現在のフィルムスキャナーと比較すればスペックには時代を感じさせるものの、二眼レフで撮影した6×6判フィルムを家庭で手軽にデジタル化できる機器として私も重宝した製品だ。
■記事のポイント
- A-Power TCS-566の特徴と基本スペック
- 35mmフィルムと120フィルムへの対応状況
- 二眼レフで撮影した6×6判フィルムのデジタル化
- マルチフォーマットキャリア MFC-1の特徴と役割
A-Power TCS-566フィルムスキャナーの特徴と基本情報

- 35mmと120フィルムに対応したフィルムスキャナー
- A-Power TCS-566の基本データ
- パソコンなしでフィルムをデジタル化
- TCS-566とNew TCS-566の違い
35mmと120フィルムに対応したフィルムスキャナー
A-Power TCS-566は現像済みの写真フィルムをデジタル画像として取り込むためのフィルムスキャナーである。
本体前面には「TCS-566 FilmScanner」の表記があり、上部には2.4型TFTカラー液晶モニターを搭載する。
大きな特徴となっているのが、一般的な35mmフィルムだけでなく120フィルム(ブローニーフィルム)を扱えることだ。
二眼レフカメラでは6×6判を採用する機種が非常に多い。ローライフレックスやローライコードをはじめ、国産二眼レフにも120フィルムを使用する機種が数多く存在する。
そのためTCS-566は35mmカメラのネガをデジタル化するだけでなく、二眼レフカメラで撮影したフィルムをデジタル化する用途にも使用できる。
メーカー資料でもTCS-566は35mmフィルムから6×6判まで読み取れるフィルムスキャナーとして紹介されている。
A-Power TCS-566の基本データ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | A-Power(エー・パワー) |
| 製品名 | TCS-566 FilmScanner |
| 製品種別 | フィルムスキャナー |
| イメージセンサー | 1/2.5型 CMOS |
| 総画素数 | 517万画素 |
| 有効画素数 | 504万画素 |
| レンズ | F3.0・4枚構成 |
| 液晶モニター | 2.4型TFTカラー液晶 |
| 対応フィルム | 35mm・120フィルム |
| 120フィルム | 6×6判 |
| MFC-1使用時 | 6×6判・6×4.5判 |
| 保存形式 | JPEG |
| 内蔵メモリー | 32MB |
| 外部メモリー | SDカード(最大16GB) |
| 光源 | 白色LED×3 |
| スキャン方式 | シングルパス |
| TV出力 | NTSC/PAL |
| インターフェース | USB |
| 本体サイズ | 約100×100×175mm |
| 重量 | 約560g |
| 電源 | DC5V/ACアダプター |
| 原産国 | 中国 |
TCS-566には総画素数517万画素、有効画素数504万画素のCMOSイメージセンサーが搭載されている。
現在のデジタルカメラと比較すると控えめな数字だが、フィルムを手軽にデジタル化する家庭用機器として設計された製品である。
パソコンなしでフィルムをデジタル化
TCS-566の特徴のひとつが単なるパソコン用周辺機器ではなく、単体でフィルムをデジタル化できるスタンドアロン型であることだ。
本体に液晶モニターとSDカードスロットを備えているため、フィルムをセットすると画像を液晶画面で確認できる。
取り込んだ画像はSDカードへ直接保存可能であり、フィルムをデジタル化するためだけにパソコンを起動する必要がない。
大量に残されたネガを整理する場合にも「まず何が写っているのか確認する」という用途で使いやすい方式である。
パソコンの操作に慣れていない人でも比較的扱いやすく、フィルムをセットして画像を確認し、そのままデジタルデータとして保存するという分かりやすさがTCS-566の魅力といえる。
TCS-566とNew TCS-566の違い

TCS-566について調べる際に注意したいのが、後に登場したNew TCS-566の存在だ。
初期のTCS-566では、120フィルムの6×6判を読み取るための専用キャリアが用意されていた。
しかし、この方式ではフィルムを1コマずつ切り離してキャリアへセットする必要があり、保存を重視するフィルムユーザーにとって使いやすい方式とは言い難かった。
そこで登場したのが今回紹介しているマルチフォーマットキャリア MFC-1である。
MFC-1は当初別売アクセサリーとして用意され、後に登場したNew TCS-566では標準装備となった。
MFC-1の採用によって、120フィルムを1コマずつ切断する必要がなくなり、さらに6×6判だけでなく6×4.5判にも対応した。
この違いはTCS-566の製品史を知るうえで重要なポイントだ。
TCS-566で二眼レフの120フィルムをデジタル化

- 二眼レフで使われる120フィルムとは
- TCS-566で6×6判フィルムをスキャン
- 6×6判と6×4.5判への対応
- マルチフォーマットキャリア MFC-1
- 約500万画素のフィルムスキャナーとしての実力
- 二眼レフの写真をデジタル化して残す意味
二眼レフで使われる120フィルムとは
120フィルムは一般に日本では「ブローニーフィルム」と呼ばれているロールフィルムである。
35mmフィルムよりも幅が広く、カメラによって6×4.5判、6×6判、6×7判、6×8判、6×9判など、さまざまな画面サイズで使用される。
そのなかでも二眼レフカメラとの関係が特に深いのが6×6判である。
ローライフレックスやローライコードをはじめ、多くの二眼レフカメラが120フィルムを使用して6×6cm判の写真を撮影する。
そのため、120フィルムの6×6判に対応しているかどうかは、二眼レフユーザーがフィルムスキャナーを選ぶうえで重要なポイントとなる。

なお「ブローニーフィルム」は日本で広く定着した呼び方であり、海外では基本的に120 filmと呼ばれる。
TCS-566で6×6判フィルムをスキャン
TCS-566が二眼レフユーザーにとって興味深い最大の理由が6×6判の120フィルムに対応していることである。
一般的な35mm専用フィルムスキャナーではフィルムそのものの幅が異なるため120フィルムをセットできない。
TCS-566では専用キャリアを使用することで二眼レフカメラで撮影された6×6判フィルムを直接読み取ることができる。
これはローライフレックス、ローライコード、ヤシカフレックスなどの二眼レフで撮影したネガを自宅でデジタル化したい場合に大きな利点となる。
昔撮影したネガを確認したり、WebサイトやSNS掲載用の画像を作成したり、大量のフィルムを整理したりといった用途にも利用できる。
6×6判と6×4.5判への対応
MFC-1を使用すると120フィルムの6×6判と6×4.5判を扱うことができる。
6×6判の場合は3コマ、6×4.5判の場合は4コマ分をつなげた状態でキャリアへセットできる。
ただし「120フィルム対応」という表記には注意が必要である。
120フィルムでは6×6判以外にも6×7判、6×8判、6×9判などが使用されているが、TCS-566とMFC-1の組み合わせですべてのフォーマットを読み取れるわけではない。
6×7判以上には対応していないため、中判フィルム全般に対応した万能スキャナーではない。
一方、6×6判を採用する二眼レフカメラを中心に使用するのであれば、この制限が問題になるケースは比較的少ないだろう。
マルチフォーマットキャリア MFC-1
今回紹介している物のなかでも特に興味深いのがMULTI FORMAT CARRIER MFC-1である。
パッケージには、
エーパワー TCS-566/エグゼモード ScanBit FS-502対応
と記載されている。
MFC-1以前のTCS-566では6×6判フィルムを1コマずつ切り離して専用キャリアへ装填する方式が採用されていた。
これに対してMFC-1では6×6判なら3コマ、6×4.5判なら4コマをつなげた状態で装填できる。
つまり、フィルムをスキャンするためだけに1コマずつ切断する必要がない。
これは単なる使い勝手の改善以上に重要な意味を持つ。
古いネガや貴重な写真資料を保存する場合、オリジナルのフィルムを不用意に切断したくないと考える人は多い。
MFC-1は複数サイズへの対応だけでなく、120フィルムをより自然な状態で扱えるようにしたアクセサリーだったのである。
約500万画素のフィルムスキャナーとしての実力


TCS-566に搭載されているCMOSイメージセンサーは総画素数517万画素、有効画素数504万画素である。
現在販売されているフィルムスキャナーやデジタルカメラと数字だけを比較すると高画素とはいえない。
そのため、120フィルムが本来持つ情報量を最大限に引き出して高精細なデジタルアーカイブを制作することを目的とするなら、より高性能なフィルムスキャナーや専門店によるスキャンサービスが適している。
一方でTCS-566には別の魅力がある。
フィルムをセットし、液晶画面で確認してSDカードへ保存するという簡単な操作でデジタル化できるため、古いフィルムの内容確認、整理、Web掲載用画像の作成などには扱いやすい。
「最高画質で保存するための機器」というより、家庭で気軽にフィルムをデジタル化するための機器として位置付けると、この製品の性格が分かりやすい。
二眼レフの写真をデジタル化して残す意味
二眼レフカメラを収集しているとカメラ本体だけでなく、レンズキャップ、フィルター、フード、ケース、取扱説明書など、その周辺に存在したさまざまな用品にも目が向く。
しかし、カメラが本来生み出すものは「写真」である。
どれほど貴重な二眼レフカメラが残されていても、そのカメラによって撮影された写真が失われてしまえば写真文化の一部分も同時に失われてしまう。
フィルムをデジタル化しておけば画像データとして整理できるほか、複製やバックアップを作成し、パソコンやスマートフォンで閲覧することも容易になる。
TCS-566そのものは二眼レフ専用機器ではない。
しかし、6×6判の120フィルムに対応したことで、二眼レフカメラによって撮影されたアナログ写真をデジタル時代へ引き継ぐ役割を担った。
フィルムカメラからデジタルカメラへと写真を取り巻く環境が大きく変化していくなかで、両者を結び付けるために登場した機器のひとつなのである。
まとめ:A-Power TCS-566フィルムスキャナー



A-Power TCS-566は35mmフィルムだけでなく二眼レフカメラで広く使用されてきた6×6判の120フィルムにも対応したフィルムスキャナー。
さらにMFC-1の登場によって120フィルムを1コマずつ切断することなく扱えるようになり、6×4.5判にも対応するなど実用性が高められた。現在の基準では性能に時代を感じる部分もあるが、家庭で手軽にフィルムをデジタル化できるという製品の魅力は色あせない。
- A-Powerのフィルムスキャナー
- 製品名はTCS-566
- 35mmフィルムに対応
- 120フィルムにも対応
- 二眼レフで一般的な6×6判をスキャン可能
- MFC-1では6×4.5判にも対応
- フィルムを切断せずMFC-1へ装填できる
- 約500万画素のCMOSセンサーを搭載
- 2.4型カラー液晶を搭載
- SDカードへ直接画像を保存できる
